今年の夏コミで頒布された冬茜トム合同誌『緋色と雪色の彩典』(半結晶性みぞれ)の感想です!著者名敬称略で、お願いいたします。
- 睦月:外堀埋めもお任せあれ(さいりん)
- 「空色の和服に淡い黄色の帯を締め、薄く化粧をした遠子は美しかった」のところでめちゃくちゃかわいい遠子が浮かんだ。遠子は蓮ちゃんとは違って結婚式の描写とかなかったから(よね…?)、そこを攻めてくれて嬉しい。遠子アフターは一番ハッピーな気持ちで読めますね。
- 如月:着重ねる思い出(同)
- やっぱサクヤは2月のイメージよね!?「シュウ先輩、じゃーん」は脳内CG余裕でした。サクヤいちゃらぶなんていくらあってもいいですからね。。
- 弥生:ゴールは花束と共に(同)
- メリッサさんが遠子の口真似するところはほんと絶対自然にやりそうで、そこが一番萌えた。ラベンダーの花言葉はちゃんと調べました。
- 卯月:前線なんて待てないから(同)
- 『外』に出たあとのアフターストーリーは何だかコトハが一番自然に受け入れられる。リンカにグッジョブしながらも対抗意識燃やしてるシュウくんグッド!
- 皐月:早いことはいいこと?(同)
- 暁は今後、どんどん人間らしくなってゆく琥珀と共に歩んでゆくわけだよね。多分その過程は嬉しい気持ちと寂しい気持ちが入り混じったものになるはず。このSSは彼女が人間らしくなってゆく前の一コマといった感じで、こういった日常を暁は何度も思い出してゆくんだろうなあと思った。
- 水無月:清涼と清流(同)
- 文月:未来を綴る(同)
- 蓮ちゃんルートは原作では最後まで手袋つけてるし義手だと明かせない形になっていて、だからこそこういうアフターは沁みますね。手を重ね合わせて体温を伝え合える関係になるために、少なくとも司にはとても大きな決断がいったはずで。
- 葉月:川面の送りびと(同)
- 僕は彩頃ではクレアさんが一番好きなので、クレアさんSSでちょっとシリアスなモチーフが入ってくれたのは嬉しかった。最後の方の灯籠が流れてゆくところの描写、ほんとに情景が目に浮かびました。さいりんさんの和風月名シリーズではこれと師走がとくに好きです。
- 長月:かけると満ちる(同)
- 数字という概念を知った直後に、数字を使わず月を表現するやり方を聞いても、そりゃあ「数字の方がわかりやすいのに」ってなるよね。。自分がキリエルートちょこちょこ忘れてるのでやり直したい気持ちになりました。
- 神無月:差し伸べられた奇跡の日常(同)
- 水無月もそうだけど、暁は絶対和風月名の由来周りに伝えたがるよね笑 京ちゃんのテニスウェア刺さる人がん刺さりなんでしょう!
- 霜月:永遠に咲かせよ歌の花(同)
- 「アレイア祭のテーマソングをシュウが作曲してユネが歌う」その設定強い!最初は躊躇ってたユネが、シュウ作曲と判明したら乗り気になるのもほんとわかる。原作ユネルートはやっぱりユネがひとりで頑張りすぎなところあるから、アフターはこうしてシュウが力強く引っ張ってゆく(少なくともそう決意する)物語が良きですね。
- 師走:覚める夢と醒めぬ夢(同)
- なんというか、所長が司を未来に帰さなかったイフっていうのもひとつの可能性として本当にあると思う。二次創作は原作のアフターとか細部の補完だけじゃなくて、そういうイフの可能性を書くこともできるから、やっぱりそういうのも読みたくなる(今回は夢だったけど)。特にクリスマスなんて、所長と司が過ごせなかった季節だしね。。いずれにせよ、「一緒にいる未来」も「つくってくれた未来」も、所長の存在とひとつづきの未来。
- これまでと、これからと(なっく)
- 彩頃の幼馴染グループの昔の話をもっと読みたいという需要はきっとあるはずなので、そういう人には刺さるやつ!はじめてみさきと京ちゃんが仲良くなって、そこからの馴れ初めとか。みさきは原作後半の精神力がすごすぎるけど、そりゃあいつか弱気になることもあるはずで、そういうときちゃんと暁がいてくれるんだな、と安心。
- 夢から目覚めて(あくあ)
- サクヤ一人称はほんとに破壊力がやばい。。「はいーシュウ先輩のサクヤです」で死んだし、「シュウさん」呼びに切り替わった直後の地の文(ですますじゃなくなるところ)が本当に好き。やっぱりサクヤにはそういうモードの切り替わりがね、あるはずだよね…。ユネが訪ねてきてサクヤとシュウが居留守使うところは本当にそういうことありそうだし、こっちまでどきどきしました。
- その手で手繰り寄せて(同)
- 原作蓮ちゃんルートの最後は意味深なセリフがあるし、蓮ちゃんは司が最後まで何かを隠し続けていることを知っている。でもそれを問い詰めたりはしていない。だからその点がいつか明かされる物語は、多くの人が夢想するんじゃないかと思う。このあくあさんのSSは、かなり「ああほんとこういう感じなんだろうな」と思って読みました。とくに彼女がはじめ少し怖がっている感じとか、途中で司に対して大きな声を出すところとか、そういう場面に二人らしさを感じた。
- ちっちゃな呪い師が生まれたワケ(七條ていく)
- なんか最後の縁さん、鳳凰ヶ原ヒミコみたいになってますけど!!笑 全体的に水道水の水割りとか笑いながら読みました。縁SS読むと、大誠と縁が徐々に仲深めてゆく物語もつい考えてしまう。第二ボタンですって。。
- グランツアーを終えて(同)
- ギドウ先輩はゲームの分岐上の可能世界では実際に街を燃やしている。トゥルーエンドの世界ではそれは防がれる。それでもそうした可能性が(トゥルーエンドの世界でも)夢として象徴的に彼に襲いかかるというのは、完全に俺の好きなやつです。そしてこのSSは、さくレットとのクロスオーバーと考えていいんですよね…?だとしたら、冬茜さん自身は自分の作品をクロスさせたりしないだろうし、こういうのも二次創作の強みで楽しい。
- 帰郷・旅は道連れ、世は情け(同)
- どうか、胸の温もりが欲しくて(Planador)
- パスタは閂のように(同)
- ユネエンド後のお話。ユネには「私はシュウのもので、シュウは私のものだ」って言ってほしいし、たとえそばにサクヤや他の誰がいたって、今回描かれたみたいに強気でシュウの側に立っていてほしい。いつかシュウのすべてはユネのものになるし、サクヤはそのことを重々わかっている。そして彼女は、きっと自分がいつか「一歩を踏み出す」こともわかっている(それはシュウへの想いを断ち切るということだと思う)。でも、まだできない。まだサクヤは「あの小さい地下室に囚われていて抜け出せない」。そういう瞬間を切り取った話がマジで好きです。
- 東風吹かば(同)
- 僕はさくレットエンド後は司のことばっかり考えるので、所長側のアフターを読めるのはなんか新鮮。匂いフェチ所長からの最後の梅の花の短歌で文面から香りが立ち上がってくる感じが良き。個人的に「何かが失われたあと、空間内に確固として存在しないけど残り続けるもの」に関心があって、そういう意味で今回「香り」が一貫したテーマになっているのは嬉しい。
- 狩りの分け前は平等に(同)
- ジュエハまだ未プレイで……
イラストもどれも魅力的で、とにかく冬茜トム愛が溢れた素敵な同人誌でした。冬茜トムばんざい!